こんにちは。はまだ歯科クリニックです。
みなさんは、おおかた歯科医院はむし歯のために行くものという認識があるのではないでしょうか。
むし歯は、痛くなるため、放置しておけないから、歯科医院へ行くという方々が多いです。
最近、「歯周病」もとても多くの方々に浸透するようになってきたのですが、それでもまだまだ歯周病が何かわからないという方々もいるようです。
そこで今回は、歯周病について徹底解説します。
歯周病についてわからない問題は全部ここで解決しておきましょう。
目次
歯周病ってどのような病気なの?
歯周病とは、歯肉(歯ぐき)や歯槽骨(骨)など歯を支えている側の歯周組織が炎症によって破壊されていく病気です。
歯槽とは、歯の根っこがはまり込んだ顎骨の穴のことをいい、歯槽骨は、それを構成している骨です。
このようにして、歯槽骨によって歯は支えられているのです。
そして、歯槽骨と歯の間には、クッションの役目をしている歯根膜という組織が存在しています。
歯周病は、歯自体ではなく、歯茎、また、歯根膜や歯槽骨が炎症している状態のことを言います。

歯肉炎とはどう違うのか
歯周病という言葉以外に、歯肉炎というものがあります。
みなさんは、その違いについて説明することができるでしょうか。
同じようなものとして理解している方々も多くいらっしゃることでしょう。
歯周炎と歯肉炎には、多少なりとも違いがあります。
歯肉炎とは、歯の周辺組織のひとつである歯茎が、赤く腫れ炎症を起こしたり、歯茎から出血したりする病気のことです。
歯周炎とは、歯茎だけではなく、歯槽骨が歯周病菌によって溶けだした状態です。
いわば、歯肉炎は初期段階の歯周病であると考えることができるの対して、歯周炎は、中レベル以上の歯周病として分けることができます。
簡単に言うと、最初に起こるものが、歯肉炎であり、歯茎の病気です。
みなさんの多くが、歯の病気で悩んで当院にいらっしゃるわけですが、歯に病気があるのなら、歯茎に病気があって当然と言ってもいいのではないでしょうか。
歯周病は、日本人のおおよそ80%の方々がかかっているとされる身近な病気であり、その初期症状こそが、歯肉炎です。
どうして歯肉炎になってしまうのか
まずは、みなさんは、どうして、歯茎の病気である歯肉炎になってしまうのかということについて考えてみましょう。
歯肉炎は、歯と歯の間、また、歯と歯ぐきの間にプラーク(歯垢)が蓄積し、起こります。
そのプラークにはたくさんの量の細菌が潜んでおり、そのなかに存在する歯周病菌によって歯ぐきが腫れてしまったり、出血したりすることがあります。
なんとなく歯ぐきが痒いといった症状も歯周病菌のせいかもしれません。

お家のケアで問題なし?
しかし、歯肉炎とは、歯周病の初期段階のことであり、比較的軽度な状態のことを言います。
よって、多くのケースでは、腫れなどの原因となるプラークをしっかりと排除し、普段以上に丁寧に、しっかりと歯磨きすることで症状が改善されることがあります。
歯肉炎が疑われる状態の方々の場合、何より優先して行いたいのは、口腔のお掃除です。
つまり、それが、プラークを取り除くことです。
また、唾液には、お口の中に残ったままの食べかすなどの汚れ、細菌を洗い流してくれる自浄作用を期待できます。
ですから、普段唾液の量を増やすように工夫をするといいでしょう。
さらに、身体の免疫システムが低下してしまうことで、いろいろな細菌と戦うことができなくなってしまうため、口腔内の細菌のバランスも崩れてしまうことでしょう。
その結果、歯肉炎になりやすくなってしまうのです。
そのためにも、日頃充分な睡眠をとるよう心掛け、バランスのいい食事、適度な運動など、生活習慣を整えることを意識して、免疫力アップを目指していきましょう。
それでもやっぱり歯肉炎は歯科医院に行った方がいい?
実際問題、歯肉炎の状況であれば、ご自身で改善が可能である場合があります。
しかし、注意しなければならないのは、全部の歯肉炎の症状が改善できるわけではないということです。
ご自身で大した症状ではないと思っていても、そのまま放置しておけば、次第に進行してしまい、顎の骨にまで炎症が到達してしまう歯周炎になる可能性も充分にあります。
さらには、「歯周病」(歯槽膿漏)になってしまうリスクも充分考えることができます。
最悪なシナリオを想定すれば、歯が抜け落ちてしまうことも考えることができます。
また、どれだけセルフケアで頑張って歯磨きをしても、セルフケアだけではプラークが取り切れないこともたくさんあります。
歯ぐきの状態がちょっとおかしい?と思ったら、早め早めの意識をもち、歯科医院でお口の中をチェックしてもらうようにするといいでしょう。
また、ご自身で歯ぐきが腫れていることに気が付いていない場合もあるので、定期的に歯科医院で検診を受けることをおすすめします。

歯槽膿漏と歯周病は違うのか
ここで、聞いたことがある方もいるかもしれませんが、新しい言葉が登場しました。
歯槽膿漏と、歯周病はどう違うのでしょうか。
歯槽膿漏とは、歯を支えている歯槽骨から膿が漏れだしている状態のことを言います。
歯周病の中で、慢性の歯周炎で状態が悪化した場合がそれです。
歯槽膿漏は、歯槽骨の吸収を引き起こすため、歯茎が下がり、歯が長くなったように見えるでしょう。
また、歯と歯茎の間に蓄積される膿のせいで、お口の中がネバネバした感じで、口臭も強くなる傾向があります。
さらに、歯槽膿漏の方々の場合、歯肉から血が出たり、歯周ポケットから出る膿以外にも、歯がグラグラするなどの症状が出てきます。
この状態になると、歯槽骨や歯根膜の破壊がかなり進行していると考えることができます。
最悪の事態にならないためにも、歯肉炎の段階で、ケアをしているというのに10日以上経過しても症状が良くならない、かえってひどくなっているような場合など、歯科医院で一度診てもらうことをおすすめしたいです。
むし歯と歯周病は何か関係があるの?
むし歯も、歯周病もどちらもお口の中の病気という意味合いでは同じです。
そして、原因は、お口の中にある細菌にあります。
食事をした後、お口の中に、汚れが残ったままであれば、数時間程度で細菌のかたまりである歯垢(プラーク)が作られてしまうことになります。
含まれている細菌の中には、むし歯の原因菌となる「ミュータンス菌」と、歯周病の原因となる「歯周病菌」が存在します。
そして、歯周病の場合、プラークに生息している歯周病菌によって、歯ぐきに炎症をもたらす毒素を作りだし、毒素によって歯ぐきが腫れる、出血するようになります。
また、むし歯と歯周病は、細菌が原因で起こる違うタイプの病気ととらえるとしても、同じ口の中で起こる病気という意味合いでは、お互いに影響を及ぼしあう可能性は充分考えることができます。
例えば、歯周病によって歯ぐきが下がってしまえば、歯の根元が露出してしまうことになります。
歯の根元はエナメル質が存在せず、やわらかい象牙質がもろに出てしまうため、よりむし歯のリスクを高くしてしまうことでしょう。
お口の中の細菌をきっかけとして発症しているため、プラークが口の中に残りやすい環境であれば、むし歯と歯周病の両方のリスクも高まり、同時に発生することも患者様によくあるケースです。
歯周病の治療
歯周病は、歯と歯ぐきの間にできるすき間(歯周ポケット)の深さによって診断します。
通常であれば、歯周ポケットの深さは、1〜3ミリ程度です。
歯周ポケットが深くなればなるほどプラークが入り込みやすくなり、固まれば歯石化します。
この歯周ポケットは、容易に酸素に触れない場所であるため、細菌にとって理想的環境となり、活発に活動をはじめます。
歯周病の治療には、専用器具を使ってプラークや歯石を除去し、歯周組織の炎症を抑えることで、症状の改善を目指していきます。
歯周病の治療は、ほとんどのケースで健康保険が適用されます。
むし歯と歯周病にならないためには、いつもお口の中を清潔に維持することが大事です。
お口の中にプラークや食べかすなどを残さないために、食事をした後の適切な歯磨きもとても大切です。
当院では、歯磨きのアドバイスもさせていただいておりますので、ぜひ気軽にご相談ください。