こんにちは。伊丹市、阪急伊丹駅すぐの歯医者、はまだ歯科クリニックです。
目次
予防歯科という考え方をご存知ですか?
歯の健康を保つために、予防歯科という重要な考え方があります。
予防歯科とは、虫歯が進行する前に正しい方法で予防策を実践することです。
この予防歯科の概念は、日本ではまだあまり知られていませんが、欧米諸国では歯の健康を大切にする文化が根付いています。
国によっても、予防歯科への意識の違いが顕著になります。
たとえば、北欧では80歳でも自分の歯が20本ほど残っている人が多いのに対し、日本人の場合は平均して5本程度と非常に少ないというデータも存在します。
予防歯科の8つのメリット
虫歯や歯周病の早期発見
虫歯や歯周病を早期に発見し未然に防ぐことは重要です。
初期の段階では虫歯は痛みを伴わず、自覚症状もありません。しかし、むし歯は進行しており、治療しても完全に回復することは難しく、その後の歯の状態も悪くなります。
歯周病はさらに深刻で、痛みを感じずに進行し、気付いた時には歯がグラグラして抜けそうになっていることも珍しくありません。
健康な歯の維持
予防歯科の定期的な受診によって、むし歯に苦しむ前に治療することや、治療時の削る量を少なくすることが可能です。
また、歯周病の主な原因である歯石を取り除くことによって、歯周病の進行を防ぎ、歯の健康を維持することができます。
健康な歯を長く保つことは大切です。
歯を失うと元に戻すことはできませんし、むし歯治療による歯の削りは寿命を縮めます。
歯を削ることなく健康な状態を長く保つことが大切だからです。
歯を失うほど食べられるものが減り、食事の楽しみも半減します。
食事の楽しみは生活の質(QOL)にとって非常に重要です。
そのためにも、予防歯科で今ある健康な歯を守りましょう。
見た目を美しく保てる
予防歯科では、最後に専用の薬品とブラシを使って歯を徹底的に清掃するプロフェッショナルなケアであるPMTCを行います。
飲食物に付着した着色汚れが取り除かれ、歯が明るく輝き、見た目も美しくなります。
虫歯の痛みを軽減できる
早期にむし歯を発見することにより、痛みを感じる前に治療を受けることができます。
小さなむし歯の治療はほとんど痛みを感じることなく行われ、麻酔を使用しない場合もあります。
費用や時間の面でも負担が軽くなります。
健康寿命を延ばせる
日本は超高齢社会となりました。男女ともに平均寿命が80歳を超えています。
将来に向けての重要な課題は、介護を必要とせず、自分で最低限の生活ができる「健康寿命」を延ばすことです。
近年の研究によれば、歯の残存本数が多いほど健康寿命が長くなることが明らかになっています。
認知症のリスクの低下
認知症のリスクを低くできます。
歯の残存本数が少ない人ほど、脳の海馬や前頭葉の容積が小さくなり、認知症のリスクが高まることが分かっています。
さらに、残存本数が20本未満で入れ歯などを使用していない高齢者は、認知症のリスクが約2倍に上昇するという研究結果もあります。
全身の病気の予防
むし歯や歯周病は口内だけでなく、全身の病気の発症や進行にも影響を与えます。
高齢者によく見られる誤嚥性肺炎は、歯周病菌が肺に侵入して発症します。
また、歯周病菌の毒素が動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。
さらに、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼすことが分かっています。
経済的負担の軽減
予防歯科の定期検診は費用がかかるものの、年に数回の受診で済みます。
一方、むし歯や歯周病になると治療まで何度も通院する必要があります。
むし歯や歯周病の治療は、定期検診よりも費用と時間がかかります。
さらに、予防歯科を実践することで、歯科だけでなく全身の病気を予防することができ、将来的な医療費の負担も大幅に軽減されます。
予防歯科には2つの方法があります
予防歯科を具体的に実践する方法には、主に2つの手段があります。
それは『プロフェッショナルケア(プロケア)』と『セルフケア』です。
プロケアは、定期的に歯科医院を訪れ、歯科医師や歯科衛生士による専門的なケアを受けることです。
彼らは自分では取り除けない奥歯や歯の裏側のプラークや歯石を取り除いてくれるため、虫歯予防に非常に効果的です。
一方、セルフケアは、自分で行うケア方法です。
ただし、自分自身で考えたオリジナルな方法では効果が期待できません。
正しい予防歯科を実践するためには、歯科医師や歯科衛生士からのアドバイスに従ったブラッシング方法や、推奨されるケアグッズ(フロスや洗口液など)の使用が重要です。
これにより、高い予防効果が得られます。
予防歯科のメニュー
PMTC
毎日細かいところまで丁寧に磨いているつもりでも、歯ブラシの届きにくい箇所には、どうしても汚れが残ってしまいます。
その残ったプラーク(細菌の集まり)は徐々にバイオフィルムと呼ばれる集合体を形成し、一度できてしまったバイオフィルムは歯磨きだけでは取り除くことができません。
そこで、徹底的にお掃除してくれるのがPMTCです。PMTCの実施により、口臭やむし歯、歯周病の予防に繋がります。
フッ素
フッ素は歯の表面のエナメル質を強化し、むし歯に対して耐性のある歯を形成する性質があります。
当院では、高濃度(9000~9500ppm)のフッ素を塗布して、むし歯にくい強い歯質を作ります。
ただ1回のフッ素塗布では効果が得られません。定期的にフッ素塗布を行うことで、むし歯予防の効果を高めることができます。
また、当院では、家庭用のフッ素を含んだジェルの販売も行っています。
フッ素塗布のためだけに当院を訪れる患者さんも多くいらっしゃいます。特にお子さんの場合は、定期的な通院をおすすめしています。
シーラント
特にお子さんにとって、虫歯は大きな敵です。しかし、歯の間や歯と歯肉の境目、そして歯の溝に関しては、虫歯が発生しやすい傾向があります。
幸いなことに、現在では「シーラント」という方法が広まっています。このシーラントを奥歯の溝に埋め込むことで、歯垢がたまらないようにすることができます。
なお、シーラントは人工的な歯科材料で作られており、取れてしまう可能性もあります。そのため、定期的な健診でシーラントの状態をチェックしましょう。
まとめ
最近では、日本でも「予防歯科」が注目を集めています。
しかし、既に欧米では定期健診を受けることが習慣化され、日常的に歯科医や歯科衛生士と協力して歯と口の健康を実践しています。
「予防歯科」の基本は、歯が生え始めた時点から歯の健康を考慮することです。
歯を失うと生活の質(QOL)が低下します。
そのような状況を避けるためには、適切な知識を身につけ、一生涯を通じて歯を守り、管理することが重要です。
日本でも、2012年に厚生労働省から「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」が報告されるなど、「予防歯科」の推奨が高まっています。
健康な歯と口の状態を一生保つために、まずは「予防歯科」を始めましょう。