こんにちは。
伊丹市、阪急伊丹駅すぐの歯医者、はまだ歯科クリニックです。
自分の口臭が気になるけど、他人にはなかなか相談しづらい…。
そんな方も多いのではないでしょうか?
少し古いデータにはなりますが、2016年に日本歯科医師会が行ったアンケート調査によると、日本人の約8割が「自分の口臭が気になる」と答えています。
周りに相談しづらいがゆえに、その程度が分からず、自分自身で気にしすぎている場合もあれば、逆に自分では気づかなくても周りの人が気付いている場合もあります。
口臭の原因はさまざまですが、実際に臭いを発する真性口臭の9割近くは口腔に原因があると言われています。
本記事では、口臭についてその歴史や原因、対処法などを解説していきますので、人知れず口臭に悩んでいる方はぜひご一読ください。
お釈迦様も弟子の口臭に困っていた?
人間が口を通して会話を行う生き物である以上、大昔から口臭の悩みはあったと想像できます。
記録に残っているところだと、紀元前5世紀頃のインドにおいて、釈迦が弟子である僧の口臭を気にして、口腔ケアを行うよう仏典に記していたとされています。
ほぼ同時期、古代ギリシャでも医学の父と呼ばれるヒポクラテスが羊毛を用いた歯磨きの指導をしていたと言われており、口臭は人類共通の悩みであったことが伺えます。
日本においても、釈迦の説いた仏教の伝来とともに口腔ケアの概念が伝わり、平安時代の病気に関する書物「病草子」には既に口臭や歯槽膿漏の様子が描かれています。
南蛮貿易を契機に、広く市中に砂糖が流通し始めた江戸時代には、比例してむし歯や歯周病を患う人も多くなりました。
この頃になると木製の舌ブラシの存在が確認されており、口臭予防を含む口腔ケアは江戸っ子の粋であるとされた、とも言われています。
現代の口臭について
先ほど、口臭にはさまざまな原因があるとお伝えしました。
国際口臭学会の分類によると、口臭の種類は3つに区分されます。
1.真性口臭症
他の人にも明らかに口臭が伝わる状態を真性口臭症と呼び、生理的口臭と病的口臭に分けられます。
生理的口臭とは、起床時や空腹時、疲労や緊張状態にある時などに、主に唾液の減少で口内の細菌が増え、口臭の元となる硫黄化合物の生成が進むことで起こります。
このほか、ニンニクなどの臭いの強い食べ物による口臭、また生理中や妊娠中、更年期などホルモンバランスの崩れやすい女性特有の口臭も生理的口臭に含まれます。
主な対策としては、ストレスや疲労の軽減のほか、歯磨きやデンタルフロスに加え、舌苔(ぜったい)の除去が有効です。
舌苔とは、舌の表面に付着する苔のような物質で、食べカスや口内の細菌、粘膜のカスなどで構成されています。
舌ブラシでの除去が一般的ですが、力加減が強すぎると舌を傷つけてしまい、かえって口臭の原因菌の増加につながるばかりか、味覚障害を起こしてしまう可能性もあります。
舌苔を放置すると後述の病的口臭にもつながりますので、ケアの方法などでわからないことがあれば、お気軽に当院までご相談ください。
続いて病的口臭ですが、こちらはむし歯や歯周病などの口腔内の疾患や、胃がん、糖尿病、肝臓病といった全身の疾患によって発生します。
日常の口腔ケアで予防を図り、原因となる疾患を治療することで改善を目指します。
原因が口腔内なのか、他にあるのかわからないという方も、まずは当院で口腔内の疾患の有無を確認することをおすすめします。
2.仮性口臭症
仮性口臭症は、本人が口臭を自覚しているものの、明らかな原因や疾患が認められず、検査を行っても社会的に容認されないような強い臭いは認められない状態を指します。
この場合は歯科医師や歯科衛生士が、患者さんに対して口臭がないことを説明し、客観的な診察結果を提示することで解消を図ります。
多くの方は歯科医師からの説明で安心、納得されますが、時にはそれでも「自分には口臭がある」との思いが消えないケースもあり、次に説明する口臭恐怖症へと発展することがあります。
3.口臭恐怖症
口臭恐怖症は、真性、仮性の口臭症に対するアプローチでは解消できないパターンで、いわばご本人が強迫的に口臭を気にしている状態を指します。
自分の口臭を過剰に気にするあまり、他人とのコミュニケーションが困難になることもあり、強迫性障害や社会不安障害といった精神疾患との関連性が指摘されています。
口臭恐怖症の治療は、精神科や心療内科での専門的な治療が必要になります。
以上が口臭症の3分類ですが、口臭の原因の多くは口腔内の異常によるものです。
口臭が気になる方はまず当院にご相談ください。
病的口臭はすぐに歯科医院へ!
実際に臭いが生じている真性口臭症のうち、医療機関での対処が必要なものを病的口臭と呼ぶことについてはすでに述べました。
この病的口臭の原因として主なものが、むし歯や歯周病、歯垢や舌苔、あるいは入れ歯の汚れといった口腔内の問題です。
これらの原因は歯科医院で適切な治療、処置を受けることで改善します。
口腔内の問題は基本的に自然治癒することはありませんので、放置しておくとどんどん悪化の一途をたどります。
歯科医院では日常の口腔ケアの指導、助言も行っていますので、併せて生理的口臭の改善にも役立ちます。
その他、ごくまれに口腔内の腫瘍が口臭の原因である場合もありますので、不快な口臭が続く場合は早めに当院へご相談ください。
口臭治療ってどんなことをするの?
口臭が気になって歯科医院へ行こうと思っても、どんなことをするのか分からないと不安を感じるかもしれません。
患者さんの状態によって治療方法や計画はそれぞれ異なりますが、一般的な治療の流れを紹介します。
まず、始めにカウンセリングと検査を行います。
カウンセリングでは口臭の症状や生活習慣などを伺い、検査では口臭測定器や口内の細菌検査などで、現在の口内の状態を調べます。
次に、カウンセリングや事前の検査の結果を基に治療計画を立て、具体的な治療と日常の口腔ケアの方法について指導を行います。
治療ではむし歯や歯周病などの原因疾患の治療や、歯垢、歯石や舌苔などの除去を行います。
口腔ケアの指導では正しい歯磨きの方法やデンタルフロスの使い方、口臭予防に役立つ食生活や、唾液の分泌を促すセルフマッサージの方法といった生活習慣についてアドバイスを行います。
後は程度に応じて定期的に検査を行い、口臭が改善されているかを測定器などでチェックし、口臭が改善されたと認められたら治療計画は完了となります。
以上が歯科医院での口臭治療の流れです。
口臭はそれ自体が病気とは認められていないため、その検査は保険適用外となります。
検査の結果、むし歯や歯周病といった病的疾患がみられた場合、その治療に対しては保険適用となります。
まとめ
口臭にはいくつかの原因がありますが、その9割近くは口腔内に原因があります。
このうち、寝ている時に雑菌が増えることで起床時に発生する口臭や、緊張時の唾液の分泌量の低下によってもたらされる口臭など、誰にでも起こる口臭のことを生理的口臭と呼び、これらは日々の歯磨きやデンタルフロス、舌ブラシでのケアのほか、デンタルリンスやマウススプレーなどの製品も口臭予防や対策に役立ちます。
病的口臭には歯科治療を行い、口臭治療は個人差もありますが、平均すると3〜6ヶ月で効果が表れると言われています。
不調を見つけるための健康診断と同様に、口臭検査には保険が使えませんが、口臭をきっかけに口内の不具合や、もしかしたらそれ以外の内臓疾患に気付くきっかけになり、結果的に病気の早期発見につながるかもしれません。
冒頭で紹介した日本歯科医師会の調査によると、口臭を気にしている人のうち、実際に歯科医院を受診する人は1割にも満たないそうです。
私たち〇〇歯科も、口臭治療についてもっと情報を発信していく必要があると思い、今回のテーマに選ばせていただきました。
少しでも口臭が気になるという方は、お気軽に当院までお問い合わせください。