こんにちは。
伊丹市、阪急伊丹駅すぐの歯医者、はまだ歯科クリニックです。
「虫歯になったかも」、「少し痛みが気になってきた」と痛みで違和感を感じた頃には、皆さんが思っているよりも虫歯は進行しています。
「歯医者さんで簡単に治療できるし…」と安易に思っていませんか?
実は、虫歯は再発リスクが高い疾患です。歯科での専門的治療に加えて、日常生活においてのセルフケアも重要になってきます。
そんな虫歯も、他の疾患と同様で「早期発見・早期治療」が非常に重要なため、定期的に歯科での健診をオススメします。
それでも虫歯になった場合、どのように治療を進めていくかご説明します。
目次
まずは虫歯の原因を知っておく
虫歯の原因はプラーク(歯垢)です。プラークは細菌の塊で、ここに潜む細菌たちの中でも特にミュータンス菌が最も悪さを働きます。この菌が酸を作り出し、歯を溶かしてしまった状態が虫歯です。
このミュータンス菌は生後10ヶ月〜36ヶ月くらいの間に、保護者から感染すると言われています。いったん口の中で大量のミュータンス菌が感染してしまうと、歯磨きくらいでは、菌量を減らすことはできません。
さらに、この細菌たちは砂糖(糖分)が大好きで、糖分を栄養に増殖し粘着性の強いプラークを歯の隙間などにどんどん作ってしまいます。その為、「甘い物を食べ過ぎると虫歯になりやすくなる」と言われるのです。
もちろん糖分の取り過ぎだけが原因ではなく、歯磨きの方法や唾液量が少ないなど、細菌の働きや繁殖を高める要因がいくつか重なり発症します。
歯の構造を知っておこう
歯は「エナメル質」、「象牙質」、「セメント質」から構成されています。歯茎から上の部分を「歯冠(分かりやすく歯と記載していきます)」、歯茎の中の部分を「歯根」といいます。
エナメル質
歯の表面にある最も硬い組織です。とても硬い組織ですが、酸で溶けやすいという弱点があります。
象牙質
エナメル質の内側にあり、歯の部分から歯根部までを構成する組織です。エナメル質よりも柔らかく、さらに酸にも溶けやすい組織になります。
象牙質には象牙細管という細い管が通っていて、管の中は組織液で満たされています。
セメント質
歯根部表面を覆っている組織です。象牙質よりさらに深層にあると想像してください。
歯根膜という膜で歯槽骨(歯を支える骨)と結合しています。人間の骨と同じくらいの硬さをしています。
歯髄
一般に神経と呼ばれる組織です。
神経線維以外に血管やリンパ管などが通っています。この血管などから象牙質に栄養を補給しています。
虫歯の進行度と一般的な治療方法
虫歯になったら「削る」「抜く」といった治療をすぐに思い浮かべてしまいませんか。
他の疾患と同様に軽度~重度と進行度によってそれぞれ治療を選択していきます。
次に進行度別に症状や治療について①~⑤段階に分けてご説明します。
①かなり軽度の場合
②エナメル質まで進んでいる場合
③象牙質まで達している場合
④神経(歯髄)まで達していた場合
⑤歯根にまで達している状態になったら…
①かなり軽度の場合
ごく初期の虫歯は、歯の表面のエナメル質が少し溶け始めた状態です。
見た目では、白く濁った様になり穴はまだ空いていません。痛みなどの自覚症状は出ていないことが多いです。
この場合は、削る等の治療ではなく適切な歯磨きやフッ素塗布で治療が行えます。
②エナメル質まで進んでいる場合
歯の表面はエナメル質でできていますが、ここが溶け始めるとしだいに黒ずんでいきます。
この状態では、まだ痛みはありませんが冷たいものを食べたり、飲んだりするとしみることがあります。
穴が空いてしまった場合は、まず虫歯部分を削ります。その空いた部分に合成樹脂のレジンを入れて固めます。
使用するレジンは、ほぼ歯と同様の色をしています。虫歯の範囲が小さい場合や見た目が気になる部分で、多く用いられます。
③象牙質まで達していた場合
象牙質はエナメル質の内側にある部分です。
虫歯が象牙質まで達すると言うことは、より虫歯が進行してきているということになります。
また、象牙質はエナメル質よりも柔らかい組織でできているため、エナメル質の虫歯よりも進行速度が速くなっていく傾向にあります。
時々、痛みを感じるようになり、冷たい物や甘い物を摂取したときにしみるようになります。
象牙質にまで達した場合でも、範囲が小さい場合は虫歯部分を削った後にレジンで埋める方法をとることもあります。
しかし、虫歯で空いた穴が大きくなってしまった場合はレジンの様に直接埋めるという方法は行えません。
穴が広範囲の場合は、まず型を取ります。
その後、型に石膏を流し込み歯の模型を作製します。この模型を使用して、金属やセラミックの詰め物やかぶせ物を作り、歯に詰めます。
④神経(歯髄)まで達していた場合
虫歯がさらに深く進行してしまうと神経にまで到達してしまいます。
神経にまで達した場合は、神経に細菌が進入してしまっており安静にしていてもズキズキと激しい痛みが生じます。
また、熱いものがしみるような状態となっています。
神経の炎症が重度な場合は、まず侵された神経組織を除去します。
その後、根管内を消毒し、シーリング材を使用し埋めていきます。
また、神経が死んでしまった歯は大変脆くなってしまいます。クラウンなどの被せ物をします。
⑤歯根にまで達している状態になったら…
歯根まで達している状態とは、歯の大部分が溶けてなくなってしまい、歯の根っこ部分まで虫歯に冒された状態です。
神経が死んでしまっており、温度や刺激による痛みがなくなってしまいます。
しかし、歯根部に膿が溜まってくると再度痛みが出現するようになります。
ここまで進行した時は多くの場合、抜歯が必要となります。
抜歯後、傷が治癒した後に「入れ歯」や「ブリッジ」、あるいは「インプラント」などで失った歯の機能の回復を図ります。
虫歯は進行すればするほど侵襲を必要とする治療が選択される場合が多いです。そうなると、患者様への身体的・精神的な負担も増えてしまいます。
再発しないために
冒頭でも少し触れましたが、「虫歯は再発しやすい疾患」です。
軽度でも重度でもしっかりと治療を完了させることが重要です。
重度になっていくと治療回数が増えたり、かかる費用も増えたりしてしまいます。
しかし、途中で治療を放置してしまうと、虫歯も治りませんし、痛みがひどくなり虫歯が広範囲となることもあります。
さらに、虫歯は「不十分な歯磨き」や「糖質の過剰な摂取」など生活習慣に関係の深い原因が多いです。
虫歯が1つ完治したからといって、今まで通り過ごしてはいけません。
何故なら、以前と同じ生活習慣は「虫歯になりやすい生活習慣」でもあるため、自身の「歯磨き方法」や「食事習慣」などを見直す必要があります。
そのため、定期的に歯科で健診を受けることもオススメします。
定期的に通うことで、専門的なクリーニングを行ってもらえたり、歯磨きのブラッシング方法を指導してもらえたりします。
もちろん虫歯や歯周病といった歯科疾患の早期発見もできます。
まとめ
「虫歯」という言葉は子供の頃から聞き馴染みのある疾患名ですよね。
進行具合によって治療方法の幅も大きく異なってしまいます。
もちろん、できるかぎり侵襲が少なく、歯や神経を残せる方法が患者様への負担が少ないため良いでしょう。
しかし、状態によっては大きく削ることや、抜歯する必要もあるので早期発見し軽度の状態で治療できるように、少しでも違和感があれば当歯科医院へ受診しご相談ください。